Mark Hara's Blog

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サンタクロースは「宗教」か?

 呪術と宗教の定義から言えば、てるてる坊主は呪術であると言えます。「あした天気にしておくれ」という現実的具体的な効果を期待して、一定の特徴を持つ人形を作り、それを一定の仕方でつるすわけですから、儀式を行なっていることになります。

 お守りを神社で買い求めて、それを携帯するという行為も、呪術であると言えます。そのお守りに対して何らかの儀式がすでに行なわれているものと信用して、それを身につけることで事故や犯罪に巻き込まれないという現実的具体的な効果があることを期待して、買っていると思われます。

 それでは、小さい子どもがいる家庭がサンタクロースの行事を行なうという行為はどうでしょうか?サンタクロースがどこか北の方にいて、子どもたちをいつも見ており、クリスマスの未明にプレゼントを持ってきてくれるという神話があり、それを再現する儀式を小さい子どもの親が行なっていることになりますので、呪術と宗教の定義から言えば、宗教であると言えます。宗教法人等の組織があるわけではありませんが。そして、その儀式によって何らかの現実的具体的な効果が期待されているわけではなく、クリスマスの朝にプレゼントを見つけた子どもが喜ぶという当たり前のことが期待されているだけです。

 それでは、子どもから見た場合、プレゼントを親に直接買ってもらうのと、サンタクロースからもらうのと、どう違うのでしょうか?どちらにしても、子どもは同じプレゼントをもらうわけですが。子どもは、保護者のもとで生活するしかなく、意のままにならないことが多く、大人とは違ったストレス下で生活していると思われます。サンタクロースがプレゼントをくれるということは、親ではない何らかの超越的な存在が「私はあなたを知っている。あなたはよい子だ。だから私はあなたにプレゼントをあげるのだ」と言っていることになるでしょう。サンタクロースの行事は、そういう意味を持ちます。

 サンタクロースの神話に出てくるサンタクロースが、神話に描かれているとおりの在り方で存在するわけではないことは明らかです。空を飛ぶトナカイのソリなど存在しません。だからといって、「サンタクロースの神話は嘘であり、作り話であり、それを信じる人は阿呆である」と言ってしまえば、それでおしまいで、その神話から何らかの積極的肯定的な意味を見出すことはできません。しかし、受け取り方によっては、「サンタクロースとはあなたのことだ。あなたがサンタクロースになりなさい。そして、小さい人の尊厳を認め、小さい人を称える者になりなさい」という意味を見出すことができますし、そのような意味で「サンタクロースは、いる」という言い方もできます。

 宗教の神話についても、同じようなことが言えます。