Mark Hara's Blog

よりよい日本・よりよい世界を考える

映画『夜明け前のうた 消された沖縄の障害者』を見ました

 先日、京都で、映画『夜明け前のうた 消された沖縄の障害者』を見ました。この映画は、精神障害者を狭い小屋などに閉じ込める私宅監置が本土で廃止されてからも沖縄では続いた歴史を取り上げ、私宅監置された人たちに光を当てたドキュメンタリーです。沖縄における私宅監置の実態を調査した精神科医が撮影した古い写真を手がかりに、長期の取材を行ない、いないことにされた人たち一人一人の名前、人柄、精神障害者となった経緯、監置されていた小屋、監置されていたときの様子、その後の消息、等をその人に関わった人たちの証言によって、丁寧に淡々と描いています。私宅監置されていた人たちの多くは、すでに亡くなっていますが、存命の人も取り上げられていました。

 映画の後、原義和監督と精神科医高木俊介氏の対談がありました。高木医師は、私宅監置制度は廃止されたが、私宅の一室に長期間隠されている人や病院に長期間収容されている人は今もいて、拘束や虐待が起こりやすい状況が今もあるという話をされました。

 原義和監督は、映画で取り上げられなかった人たちが多くいたこと、取材を拒否される場合が少なくなかったこと、このような映画制作が正しいことかどうかはわからないが、それが自分の仕事であり役割であること、などを話されました。原監督は、また、彼らを閉じ込めたのは社会であり、自分もその社会の一員として社会の闇を作っていること、彼らは自分の代わりに社会の闇を担ったこと、などを話されました。この最後の点は、先日書きましたキリストの十字架の教義に関する解釈と一致すると思いました。

映画『夜明け前のうた 消された沖縄の障害者』オフィシャル・サイト