Mark Hara's Blog

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キリスト教は男女平等の宗教か?

 世界経済フォーラムが毎年出している世界ジェンダーギャップ報告の2021年版が出ました。この報告は、14の社会統計を用いた非常に客観的なものです。それらは、労働人口、同じ仕事に対する賃金、推定収入、〈地方議員・上級公務員・管理職〉、専門職、識字率初等教育学校の児童数、中等教育学校の生徒数、高等教育学校の学生数、出生数、健康寿命、国会議員数、閣僚数、過去50年間の大統領や首相の在任期間、以上14の社会統計です。調査対象となった166か国中、日本は120位でした。上位10か国は、アイスランドフィンランドノルウェーニュージーランドスウェーデンナミビアルワンダリトアニアアイルランド、スイスでした。アフリカの国が2か国含まれていますが、これらの10か国は、キリスト教徒が多数を占める国々です。それでは、キリスト教は男女平等の宗教なのでしょうか?

 聖書を見る限り、そうとは言えません。旧約聖書の最初の書である創世記のエデンの園の物語の中に、女は、男を助ける者として、男のあばら骨から造られたという話が出てきます。これは、どう考えても、女性蔑視の物語です。新約聖書パウロの手紙にも男尊女卑の内容がしばしば出てきます。旧約聖書の主要部分は、古事記日本書紀より1000年以上前に成立していますし、新約聖書でも、古事記日本書紀より600年以上古いのです。聖書には、人権や人間の尊厳という言葉は出てきません。古代の文書だからです。

 女性の権利は、徐々に拡大してきました。欧米の大学は、男子修道院が原型だったために、男子校ばかりでしたが、19世紀から女子大学が創られました。古代の民主制を除けば、人類初の近代民主主義国家はアメリカ合衆国で、ヨーロッパ初の近代民主主義国家はフランスですが、それらの国でも、参政権は最初は男性にしかありませんでした。女性参政権は19世紀から20世紀に、徐々に実現していきました。

 ヨーロッパは、宗教改革や地動説など、道理によって、それまでの長い伝統や習慣を批判し、改革するということを行なってきました。女性の権利の拡大も、道理によって、それまでの長い伝統や習慣を批判し、改革することによって、徐々に実現したのです。