Mark Hara's Blog

よりよい日本・よりよい世界を考える

文学部、法学部、経済学部、商学部

 文学部、法学部、経済学部、商学部は、昔からある古い学部ですね。私は、物理学者になりたかったので理学部に行きましたが、文科系の諸学部について、十代の時には、それが何をするところなのか、なぜそれをすることに意味があるのか、今思えば、よくわかっていませんでした。

 外国語を深く学び、研究したい場合、昔は文学部に行ったわけですが、今は国際学部などもありますね。心理学を学びたい場合は、今でも文学部が選択肢となりますが、教育学部でも心理学を学ぶことができるでしょう。哲学や思想を学びたい場合は、神学部等以外では、文学部が選択肢となります。近代的な人文科学では、哲学や思想についての歴史的研究が基礎として必要になります。それは神学部でも同じです。

 法学部の意味をわかっていて、そこを志望する十代の人は、精神年齢が高いのではないでしょうか。日本を含めて、現代社会は、法治主義の原則によって成り立っています。旧制高等小学校卒だった田中角栄元首相は、「神羅万象、世の中のすべてのことに法律が関係している。法律を作ることほどおもしろいことはない」というようなことを言っていたそうです。会社にしても、学校にしても、行政機関にしても、福祉組織にしても、およそ組織は、法律に基づいて存在し、運営されています。それらの組織の設立や運営は、法律が求める要件を満たす必要があります。また、私人間(しじんかん)の問題は訴訟を提起して法廷で解決することができます。法学部で学んで、弁護士や司法書士を目指すこともできます。

 商学部では、会計学を学ぶことができます。世の中のどんな組織にもお金の出入りがあり、会計があり、会計報告や会計監査が必要です。商学部で学んで、公認会計士を目指すこともできます。また、どんな組織でも、健全な経営のためには、健全な会計、すなわち健全な財務状態が必要条件となります。会計的な破綻は組織の破綻を意味します。つまり、組織を経営するためには、会計、すなわち財務諸表を理解し、方針を決めることができる能力が必要となります。

 経済学部では経済学を学ぶわけですが、経済学というものは、人間の経済活動の理論的研究であって、自然を対象とする物理学に似たところがあり、数学が必要です。日銀の金融政策決定会合のメンバーには、深い経済学の知識が必要ですが、それはほんのひとにぎりの人たちですね。しかし、誰でも物理学を学ぶ意味はあります。物理学的な感覚は、例えば自動車を運転する時に生きてくると思います。同様に、誰でも経済学を学ぶ意味はあります。経済学的に合理的な政策というものがあり、選挙の際の投票行動に生きてくると思います。簡単な例を挙げれば、女性の社会進出を抑制しようとしている自民党神社本庁神道政治連盟の政策意図は、GDPを抑制する効果があり、経済学的に不合理です。実際は、経済学部でも会計学を学ぶことはできると思います。

 社会学部は、文学部から独立した比較的新しい学部で、人間の社会をデータに基づいて統計学等の数学を使って研究するということが重要な要素になっています。そういう意味では、社会学も、自然を対象とする物理学に似たところがあります。

 総合政策学部や人間福祉学部は、さらに新しい学部で、学際的な研究をするところだと思います。おそらく、組織の経営は、到達目標の一つとして考えられるでしょうから、会計学を学ぶことができるようになっているのではないかと思います。

 私は、現役で京大理学部に行きましたが、大学院入試で不合格となり、文学部に学士編入しました。その時に、再度、進路について考えたわけですが、今思えば、社会科学系の諸学部の意味をよくわかっていなかったと思います。