Mark Hara's Blog

よりよい日本・よりよい世界を考える

Bat と But, Mustard と Mastered

 Bat は「コウモリ」または野球の「バット」を意味する言葉です。But は「しかし」という意味です。あなたは、bat と but を区別して言うことができますか。そして、人が bat または but と言った場合、どちらの単語を言ったのか区別がつきますか。

 日本語には、ア、イ、ウ、エ、オという5つの母音があります。英語には、文字としては a, e, i, o, u という5つの母音字がありますが、音としては、二重母音を含めると、20くらいの母音があります。日本語には、長音がありますから、それを数えると母音の数は10に増えます。

 母音の音を決めているのは、唇の開き方、唇の力の入れ方、声の出し方、舌の位置、鼻にどれくらい抜けているか、などの要素がありますが、今は、唇の開き方に注目してみましょう。

 日本語の場合、イという音は、唇が横に大きく開いていますが縦には小さく開いています。これをイ(大、小)と書くことにします。この書き方で他の母音について書けば、エ(大、中)、ア(大、大)、オ(小、小)、ウ(極小、極小)ということになるでしょう。ここまでは理解していただけましたでしょうか。鏡を見て、イ、エ、ア、オ、ウと言ってみると、おわかりいただけると思います。

 英語の a は、そこにアクセントがある場合は [æ] という音になることが多いわけですが、[æ] という音は、上の書き方で書けば、(極大、極大)となり、さらに唇に力が入っていて、舌の位置もやや高くなっています。日本語の母音には(中、中)がありませんが、英語の [ə] は、(中、中)で、しかも唇の力が抜けています。唇の力が抜けているから、自然に(中、中)になっている、ということだとも言えます。[ə] の音は、アクセントがないところに頻繁に出てきます。[ə] の唇に力が入ると、[ʌ] の音になります。[ʌ] の音は、アクセントがある場合に出てきます。[ʌ] も [ə] も、唇の開き方は(中、中)なのですが、[ʌ] の唇には力が入っていて、[ə] の唇は力が抜けています。

 こういうわけで、u なのにアと言ってしまうと、a だと誤解される可能性が高まるわけです。[æ] は(極大、極大)、アは(大、大)、[ʌ] は(中、中)という唇の開き方になります。