Mark Hara's Blog

よりよい日本・よりよい世界を考える

あなたは民主主義とは何かを端的に説明できますか?

 日本は民主主義の国ですが、あなたは民主主義とは何かを端的に説明できますか?結論を先に言えば、民主主義とは人民主権主義を短くした言葉です。主権とは統治権のことです。ですから、民主主義とは人民が統治者であるという意味です。民主主義とは、統治される人民が選挙によって代表者を選び、人民に選ばれた代表者から成る議会が法律を作り、その法律によって人民が自らを統治する自己統治制度です。

 民主主義国家の選挙においては、すべての成人に一人一票の投票権があります。また、立候補する権利があります。この制度は、すべての人は尊厳と権利とについて平等であり、すべての人には理性と良心があるという人間理解が前提となっています。すなわち、人権思想が民主主義という政治制度の前提となっています。

 人類初の近代民主主義国家はアメリカ合衆国です。同志社を創立した新島襄(1843-1890)は、『連邦志略』という書物を読んで、アメリカでは大統領が選挙で選ばれることを知り、非常に大きな衝撃を受け、なんとしてもアメリカに行きたいという決意を固めました。ただし、その当時の選挙権・被選挙権は、まだ男性に限られていました。アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカン(1809-1865)の言葉に「一部の人たちを常に、そしてすべての人たちを一時だますことはできるが、すべての人たちを常にだますことはできない」というものがあります。この言葉は選挙による代議制民主主義がなぜ機能するかを言い表した言葉であると言えます。

 民主主義国家においては、立法権、行政権、司法権の三権が分立していますが、これは、人間は権力の誘惑に負けて罪を犯すことが多いという人間理解が前提となっています。

 政治権力の根拠は主権者からの委託にあるわけですが、アメリカの場合は、議員と大統領が市民の投票によって選ばれ、最高裁判所の判事は大統領が指名し、上院が承認することになっています。日本の場合は、国会議員が国民の投票によって選ばれ、国会が内閣総理大臣を投票によって選出し、内閣総理大臣が組閣して内閣を作り、内閣が最高裁判所裁判官を選んでいます。日本の場合、最高裁判所裁判官の人事は国会の承認を必要としませんが、選挙の際、最高裁判所裁判官の国民審査があり、主権者である国民が最高裁判所裁判官を罷免することができる制度となっています。最高裁判所がその他の裁判所の人事を行なっています。日本の場合、国民が選挙で直接選んでいるのは国会議員ですが、内閣や裁判官たちも間接的に選んでいることになります。