Mark Hara's Blog

よりよい日本・よりよい世界を考える

アメリカと America

 私が中1だったとき、英語の先生はアメリカ人の修道士でした。そのときの授業で、次のようなやり取りがありました。

先生:Repeat after me. "America."

生徒:アメリカ。

先生:No. Not アメー. "America."

生徒:"America."

先生:Good. 

つまり、英語の [e] の音は、日本語のエほどには口が横に開いていないわけです。

 例えば、日本語で、意外なことに対する反応として、「エー!」という音を出すことがあるでしょう。学校で先生が意外なことを言った場合、生徒たちが一斉に「エー!」と言うことがあると思います。そのときの、エの音は、口がかなり横に開いています。

 それに対して、Amazing Grace という歌の最初のほうに、that save a wretch like me という部分がありますが、その [ə retʃ] というところの [e] の音は、日本語のエほどには、口が横に開いていないことが、YouTube などをよく聴くとわかると思います。同じ部分にある a も、発音は [ə] ですので、日本語のアほどには、口は横に開いていません。

 音声学では、母音を説明する際に、口が縦横それぞれにどれくらい開いているかを問題にしますが、世の中には腹話術というものもあります。実際は、口が縦横それぞれにどれくらい開いているかは、気持ちの問題で、口をあまり開けないでボソボソ言う場合もあるわけです。ですから、実際的には、好きな音楽などをよく聴いて、できるだけ真似てみて、その音がどういう音なのかを体得することが、発音を学ぶためのおすすめの方法です。

 日本語の5つの母音の内、ア、イ、エは、口が横に開いている音です。英語では、二重母音を除いた単母音だけを考えた場合、口が横に開く音は意外に少ないと思われます。[æ] と [iː] くらいしかないのではないでしょうか。

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追記:

 Simon and Garfunkel の America の live を聴くと、けっこうアメーと言ってました。"No. Not アメー" と言ったのは、私の先生のクセだったのかもしれません。でも、レコードの音は、けっこう私の先生の発音に近いと思います。